離婚の基礎知識

 

このページをご覧になられている方は、既に「離婚」について悩まれていることと思います。・・・「離婚」すべきか?どうすべきか?
「離婚」は大変な労力を伴います。「結婚」してから経過した時間、得たもの、失ったものを、限られた時間で清算する訳ですから当然です。
ですから、「離婚」にするよって「これからどうすればいいのか?」、「どうなってしまうのか?」、そんな見えない不安に駆られて決断できないでいる人も数多くみえる・・・ということも事実です。

 

「離婚」するかしないかは、最終的にはご本人同士の意思で決まります。私は「離婚カウンセラー」ではありません。「行政書士」です。ですからここでは敢えて「離婚」についての相談的な内容や、予備知識について細かく説明することは避け、「では、実際どうすれば上手く離婚できるのか?」についてお話させて頂きます。

 

当事務所への「離婚相談」は女性側からが圧倒的に多いです。ですからこのページの内容は、必然的に女性視点からになりがちなものである・・・ということをご了承下さい。

 

 

 離婚の準備?

 

「離婚」は夫婦間の「話し合い(協議)」によって行われます。それでまとまらなければ、「家庭裁判所」に「調停の申し立て」をして「調停」が行われます。そこでまとまれば「調停離婚」となりますが、「調停」がまとまらなければ「裁判」となります。「いきなり裁判!」はできません。「協議」が前提なのです。
さて「離婚」の「協議」に入る前に、貴女は決めておかなければいけない事がいくつかあります。

 

① 「親権」をどうするのか?
② 「慰謝料」「財産分与」をどうするのか?
③ 「養育費」をどうするのか?
④ 「借金、ローン」をどうするのか?
⑤ 「離婚」後の生活をどうするのか?

 

場合によっては他にもありますが、主だったところは以上の5項目です。

では順番にみていきましょう。

 

 

 ① 「親権」をどうするのか?

まず「親権」について説明しましょう。

 

「親権」:親には、子を成年になるまで育て、保護し、教育する義務があります。親がこの義務を果たそうとするときに、他人に邪魔されない権利のことです。

 

誤解が多いようですが、「親権」は子の為に使われる権利であり、親の為の権利ではありません。

 

未成年の子のある夫婦が「離婚」をする場合、まず「親権」をどちらが持つのかを決めなければ「離婚」できません。基本的には夫婦間で「協議」により決めますが、子が未成年でも分別が付く年齢(15歳以上位)の場合、子の意思を尊重してあげるのも良いでしょう。どうしても決着がつかない場合は最終的には「裁判」で決することになります。

 

■ポイント

「どうしても子供を自分の手元におきたい!」

お気持ちはよく解ります。ですがこれを相手に悟られてはいけません。これが貴女の「弱み」になり、相手につけ込む隙になってしまいます。次の「慰謝料」「財産分与」でも述べますが、駆け引きの手段にされてしまう可能性をはらんでしまいます。

 

 

 ② 「慰謝料」「財産分与」をどうするのか?

「慰謝料」は「離婚」の原因を作った「有責配偶者(責任のある配偶者)」によって、受けた精神的苦痛等を償う目的で支払われます。逆に言えば夫婦相互に決定的な「離婚」責任が無い場合・・・例えば性格の不一致、価値観の違い・・・といったような原因の場合、支払われることは稀です。ですが「財産分与」は、結婚中に夫婦が協力して作った財産の清算ですから、例え専業主婦でも分与されるべき財産はありますのでご安心下さい。

 

このように夫婦が「離婚」をすると、一方の配偶者から他方の配偶者へ「金銭」「不動産」等という形で、「慰謝料」「財産分与」の財産が渡されます。・・・いや渡されることがあります

 

なぜか?

 

実際に離婚をした夫婦の実に約半数が、「慰謝料」「財産分与」無しで別れているのが現実なのです。

 

その理由はいくつかあります。

 

例えば・・・
 ・支払うべき財産(金銭)が無い。(いわゆる金が無い)
 ・離婚について決定的な落ち度が無い為請求できない。
 ・財産上の問題は話し合いが長引く為、「離婚」を急いで諦めてしまう。
 ・子を引取りたい為に「親権」と交換条件にされてしまう。

   ・・・等です。

 

本来「慰謝料」と「財産分与」は別物で、個別に取り決められます。ある程度の算定基準(婚姻期間、夫婦の収入、資産、離婚原因等)はありますが、極めて曖昧でケース・バイ・ケースというのが実態です。ここでは詳細は割愛しますが、支払額は年々減少傾向にあります。全国平均では約380万円前後です。

 

最後に注意すべき点としては、「慰謝料」「財産分与」共に離婚後も請求できますが、「慰謝料請求権」は3年、「財産分与請求権」は2年で時効になります

 

■ポイント

「財産分与」は相互の権利ですから、きちんと協議して納得のいく額を決めるべきです。決して諦めてはいけません。その為に現状の夫婦間の財産を、正確に把握する必要があります。「不動産の評価額」「預金残高」「生命保険」「株式証券」等です。相手の「隠し財産」にも注意が必要です。「年金の分割」も忘れてはいけないポイントです。


先にも書きましたが、「慰謝料」は必ずしも発生するものではありません。冷静な判断の求められるところです。


最後に金額も重要ですが「支払方法」も重要です。分割にするのか?一括にするのか?一括が有利なのは言うまでもありませんが、ここが一番「離婚協議」で揉めるところです。ある程度の妥協をする覚悟も必要でしょう。こだわり過ぎると「協議」の長期化を招き、「裁判」に至る最大の原因となります。

 

 

 

 ③ 「養育費」をどうするのか?

「離婚」して子供を引取らない側の親は、「養育費」を支払う義務があります。「養育費」の具体的な額は夫婦間の「協議」で決められますが、一定の基準として「養育費・婚姻費用の算定方式と算定表の提案」が、家庭裁判所のホームページで公表されていますので参考にして下さい。とはいうものの、現実問題「養育費」の支払いは長期間になる場合が多い為、「支払義務者」が任意に支払いたいと思う額でないと続かない・・・という現実があります。その為に「養育費」の額が、「支払義務者」の都合に引きずられてしまう側面もあります。

 

■ポイント

「養育費」の金額も重要ですが「期間」も重要です。いつまでもらうのか・・・?18歳まで?20歳まで?それとも大学卒業の22歳まで?法的な取り決めはありませんので、期間が長い方が有利なのは言うまでもありません。法外な額を請求するのも感心できません。「慰謝料」「財産分与」も含め「支払義務者」の経済力も考慮し、ある程度妥協する覚悟も必要でしょう。

 

 

 

 

 ④ 「借金・ローン」をどうするのか?

「借金・ローン」も夫婦の「共有財産」です。先に書いた「財産分与」の対象になり夫婦間で分けられます。ここでも現状の「借金・ローン」の総額を正確に把握しておく必要があります。どの様に分けるのかは、当然離婚後のお互いの収入状況に応じて「協議」して決められるべきものです。

 

ですが全てが「共有財産」になる訳ではありません。夫婦の一方が「生活していくうえで必要なもの」を買った場合の「借金・ローン」は他方も連帯して責任を負わなければなりません。そうでない場合は連帯して責任を負う必要はありません。例えば夫のギャンブルによる借金、妻の貴金属購入等の浪費から他方を守る必要があるからです。

 

■ポイント

ここで一番問題になるのは「住宅ローン」です。多くの場合はこの「住宅ローン」の残債が残った状態で「離婚」に至ってしまうのです。この場合どうすべきか?夫婦は別れて別々になる訳ですが、住宅はひとつです。どちらかが残るのか?それともどちらも残らず処分してしまうのか?どちらかでしょう。処分した場合、お金が残っても残債が残ってもそれを分けるということになります。どちらかが残る場合・・・どちらが残るか?で大きく変わってきます。

 

・経済力の十分ある方(夫)が残る場合
この場合は残ったほうがローンを支払い続けるという形で決着がつくことが多いでしょう。ローンの契約者も夫である場合が多いでしょうから、金融会社に対しても話が通しやすいと思います。ただ連帯保証人に奥さんがなっている場合は注意が必要です。別れてもなお連帯保証人の効力は有効ですから、「離婚」に際して変更するなりの対策が必要です。

 

・経済力が不十分な方(妻)が残る場合
この場合は問題が多いです。家と家族を残して夫が出て行ってしまうパターンです。夫と妻が協議し協力し合って返済していくことになるのでしょうが、この状態を金融会社が知れば何がしかの条件を付けてくる可能性もあります。またそれ以前の問題で、出て行った側(夫)にしてみれば、自分が住んでもいない家の為にローンを何十年も払い続けるでしょうか?早々に支払いが滞る可能性は十分あり得ます。「住宅ローン」は契約者に万が一があれば保険で残債が消滅する場合が殆どですが、残った妻に万が一があっても「住宅ローン」は消滅しません。


結論この場合、残る方(妻)に十分な経済的後ろ盾(実家の支援等)がある場合を除きお勧めしかねます。ある日突然「競売!」というリスクを抱えたままでは安心した生活は望めませんし、子供の為にもいい理由がありません。家と家族を残して夫が出て行ってしまった時点で、処分する方向で検討した方がよいでしょう。心情的にはかなりつらい決断になるとは思いますが・・・。

 

 

 

 

 ⑤ 「離婚」後の生活をどうするのか?

ここに不安を感じられて、なかなか「離婚」を決断できないでいる方は非常に多いようです(特に女性側)。ここは非常に重要な項目ではありますが、このページは冒頭にも書きましたように「では、実際どうすれば上手く離婚できるのか?」がテーマになっております。「離婚」後の「自分の姓はどうなるのか?」、「子の姓はどうなるのか?」といった事後的なお話は割愛させて頂きます。誤解なさらないで欲しいのは、実務上は勿論「離婚」後についてもしっかりサポートさせて頂きますのでご安心下さい。

 

□まず住むところの問題
 ・今のところに住み続けるのか?
 ・実家に帰るのか?
 ・公営住宅等に転居するのか?


どの場合も実際に「離婚」する前に準備しておくべきです。可能ならば、ご実家に相談されることをお勧めします。思いもがけない支援が得られる場合もあります。勿論公的な優遇措置もありますので、それらを活用することは言うまでもありません。

 

□次に収入の問題  

「働く」・・・確かにこの国はこと労働条件について女性に厳しいです。特に小さなお子さんを抱えた場合、間口は情けないくらい非常に狭くなります。ですが国や各都道府県、市区町村で母子家庭を支援する様々な仕組みがありますのでこれらも十分に活用して下さい。私自身も「人材活用サポートセンター」と提携しておりますので、ご相談者の必要に応じてお手伝いさせて頂きます。

 

 

 協議離婚を上手く乗り切るには

 

色々書き綴って参りましたが今一度念を押します。「離婚」は先ずは「話し合い=協議」から始まります。実際に成立している「離婚」の約9割は、「調停」を含むとはいえ「協議離婚」なのです。「裁判」にまで発展しているには10件に1件とお考え下さい。

 

くれぐれも感情に任せて「離婚届」に判を押すのはやめて下さい。一度判を押してしまえば「離婚」は有効になってしまいます。

 

では「十分に話し合った」「十分に協議した」ある程度の妥協こそあれ取り敢えずは話しがまとまった・・・。その次にしなければならないのは「話し合った内容を書面に残す」ことです。いわゆる「離婚協議書」と呼ばれるものです。
この「離婚協議」にこれまでに取り決めた、「親権」「慰謝料」「財産分与」「養育費」等の金額や支払い方法等を書き記すのです。勿論ご自身で作成されても構いません。


ですが「間違いの無い」方法を選択されるのなら、この「離婚協議書」を「公正証書」にすることをお勧めします。「公正証書」には、金銭債務(慰謝料、養育費の支払い)の不履行に対して直ちに「強制執行」の効力がありますので、履行の確保、相手に対する心理的プレッシャーには効果的です。

 

ある意味「離婚」は時間との戦いです。つまり夫婦生活が破綻し修復も難しい。貴女が「もう離婚するしかないかも・・・」と考えた時から戦いは始まるのです。相手も同じことを考えているかもしれません。相手が「離婚」の準備を終える前に貴女が先に周到に「離婚」の準備すること。そして一気に勝負を掛けて短期で決着を付ける。これが一番貴女に負担の掛らない方法です。

 

 それからもうひとつ。余計なことかもしれませんが、もし相手に「離婚」責任を問えそうな場合(浮気、浪費等)、しっかりと証拠を集めて残しておいて下さい。写真、レシート、手紙・・・これは?と思えるものならなんでも結構です。ご自身の日記的な記録でも構いません。これらが後日貴女を有利に導く材料になり得ます。勿論相手には知られないようにしておいて下さい。

 

まだご不安ですか?変な言い方ですが大丈夫ですよ。こと「離婚」に関して男性は意外とだらしなく、そして案外弱いのです。女性の方がはるかに逞しいですよ。ですが周到な準備には専門家の協力が欠かせないでしょう。良い専門家に出会えることをお祈りします。勿論私でよければお力になりますよ。

 

   

 

また、文面もよく検討しないと、相手方が必要以上に怯えてしまい、逆に「脅迫罪」、「恐喝罪」で訴えられてしまうことさえあります。

 
 

「内容証明郵便」の作成には、十分な法的知識と注意力が必要なのです。

 
 

 
※料金表は、こちらのページ(報酬額一覧)をご覧下さい。